ダイハツ車の品質不正で思うこと

先週から報道されているダイハツ工業の品質不正問題で、今週から1か月程度、国内の4工場で生産を停止するとのことで、顧客・ディーラーおよび協力会社に対して大きな影響が出ることが予想されます。

今回は、現在私が乗っているトヨタブランドの車もダイハツ製として品質不正の対象車種とされており、今後リコールを含めた何がしかの対応が行われるのかどうかは未だ発表されていませんが、「他人事」ではなくユーザーとして「当事者」になってしましました。

過去の色々なメーカーの品質問題を振り返ると、その要因はほとんど納期短縮+コスト低減によるもので、今回のダイハツについても、以下の通り短期間での新車開発+品質保証部門の人員削減が原因と報道されています。

・不正は1989年から断続的に行われ、2014年以降は件数が増加。
・「ミライ―ス」で2011年に従来に比べて大幅に開発期間を短縮したことから、その後の新車開発において、開発期間の短縮が強く求められるようになった。
・衝突試験を行う部門の2022年度の人員は、10年前に比べて1/3に削減されていた。

品質不正問題については、私が以前在籍していた電機メーカーについても自分の退職後に報道され、私が営業部門いた際、工場の技術部門に対して納期短縮とコスト低減を何度も要求したことがあるため、個人的には少々複雑な思いがあります。
BtoB、BtoCビジネスのいずれにおいても顧客にとっては短納期かつ低コストが望ましく、また他社との競合からも、メーカーの製造部門には納期短縮+コスト低減の圧力が掛かりやすい環境は今後も変わらないと思います。

ただ、物流や医療の2024年問題(ドライバーや医師の残業規制)なども考えると、顧客の立場になる際は、今後はある程度、長納期化等の不便さや相応の価格アップを受け入れる心構えが必要と思うようになりました。(車については、昨年から半導体不足による長納期化と材料費高騰による価格アップがあったことは皆様もご存じの通りです)

短納期&品質と価格のバランスの良さは日本メーカーの強みであり、今後もそれに向けた努力が必要なのは言うまでもないでしょう。ただ、昨今の人手不足問題などを考えると、下請比率が高い企業は難しい面もあるかもしれませんが、顧客・メーカー双方とも、適正納期+適正価格を考えていかざるを得ないと感じます。

PS.一緒に掲載している車のイラストは、画像生成AIのAdobe Fireflyで作成してみました。

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