登山計画と経営計画

私は3年前のコロナ禍が始まった後、約30年振りに趣味の山登りを再開しました。その中で、登山計画と経営計画は似ているところがあると感じるようになったので、今回はその類似点についてお話ししたいと思います。
登山計画は、最初に登りたい山や山域[売上や利益などの目標]を設定し、メンバーの体力・技術・経験・知識などのスキル[既存の経営資源]を考慮し、登山ルート[計画達成のプロセス]、コースタイムを含む工程[経営計画であれば通常は1か年]、装備・食料[計画に合わせて準備する経営資源]、途中で何らかの事情で目的地まで行くことが難しくなった場合のエスケープルート[代替プラン]などを検討し、計画としてまとめます。
最近は、個人で山行記録をネット上に容易に掲載できるようになりましたが、体力・技術などのスキル[経営資源]や山行時の気象条件[事業環境]にはバラつきがあるため、参考にする際は注意が必要です。[経営資源や事業環境の異なる他社の戦略はそのまま自社に適用できるとは限らない。]
また行動中は、こまめに現在地[計画達成状況]を、地図と磁石(+最近は高度計付きの腕時計)あるいはスマホのGPSアプリなどで確認して道迷いを防ぐようにします。(特に視界が良くない時は遭難防止の大事なポイント)
私が若い頃は、スマホやインターネットは無く、地図と磁石で現在位置を確認するのは必須の技術で、当時、地図読みは先輩から厳しく指導されたものです。また車の運転についても、カーナビは無かったので道路地図をきちんと見て現在地と進む道を確認していました。
一方、最近の登山者を見ていると、紙の地図と磁石を持たずにスマホのGPSアプリだけを頼りに歩いていると思われる人も多く、GPSの電波が入らなかったり、スマホが故障したりバッテリーが無くなった場合はどうするのかと心配になります。確かにスマホのGPSアプリは便利で、私も初めて行く山や久しぶりの山では使っていますが、GPSアプリをメインに使う場合も、紙の地図と磁石はバクアップを兼ねて必ず持っていき、なるべくGPSアプリに頼らずに地図読み力の衰えを防ぐよう心掛けています。
経営計画では、途中で達成状況(現在地)がわからなくなることはないと思いますが、何がしか想定外の事案が発生した際のバックアップ対策を検討しておいた方が良い場合もあると思います。
ところで、最近のAI技術の進歩を見ていると、経営計画や登山計画に限らず、○○計画と言われるものは、AIに必要なデータをインプットしてやれば計画案を作成してくれる日が近々やって来そうです。そうすると、人間が行う仕事は、AIが作成した計画案をチェックし、人間の意思を反映した上で完成させることになるので、自分もそのような日が来ることを意識しつつ仕事をしなければと思っています。

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